1990年に工場長と月産40万本の目標を掲げた。

少なくても2年後には達成したいと2人で誓い合ったが、雲をつかむような数字であった。

この年の中頃になってようやくF社との交渉が少しずつではあったが進み、試食をしていただくところまで漕ぎつけた。その時J氏に言われた一言が今でも鮮明に残っている

「このえぐさをとらないとだめだ!」

この“えぐさ”が分らない。というよりも今でもはっきりと分からない。広辞苑では「あくが強く、えがらっぽい」とあるが、分かるようでわからない意味である。

このえぐさをA社と製油メーカーのK社に丸投げし試作に試作を重ね、ようやくハーモニーの取れた違和感のないすっきりした味になった。これならいけると確信をもってF社のJ氏にプレゼンをさせて頂いた。

難しい顔で試食され、ニコッと笑顔になられ、「よし、これならOKだ!」最初にプレゼンしてから7ヵ月が経過していた。

トップに営業を開始してから1年7ヵ月、工場建設から約3年目の事であった。